2020/10/21

シカゴ日記 - 14日目

シカゴに来てちょうど2週間が立った。昨日知り合ったミツに教えてもらった古着屋さんを目当てに出かける。地図で調べてみると、先日エリンが連れて行ってくれたレストランに近い場所だった。なるほどこのあたりが若者が遊びに来るお洒落ストリートなんだな。バス停でバスを待っていると、隣に並んだお姉さんがイヤホンで音楽を聞きながら小さく踊りだした。そう、小さい踊りだったのだけど、こうして街中で見ると大きな踊りに見える。でも誰も気にしない。気にしているのは私くらいのもんだ。外で踊っているからって誰かに見せるための踊りじゃないから、って言われているような。古着屋ですっごく可愛いブラウスとスカートのセットアップを見つけたけどサイズが大きくて断念。何も買わずに店を出る。それから周辺のお店をぶらぶらして、たまたま見つけた可愛らしいカフェでコーヒーをテイクアウトして外に出るとさっきまで誰もいなかった道路の一画に楽器を持ったお兄さんが。おっ、と思って眺めていると、他のメンバーらしき人たちもどこからともなくやってきて、特に言葉を交わすこともなく思い思いに楽器を弾き始めた。ウォーミングアップみたいな。だんだん音が揃ってくる。かっこいー。しばらく眺めたあと、コーヒーも飲み終わったし寒くなってきたのでチップを渡して退陣。いいものを見た。帰りのバスでは両肩に限界までトートバックをたくさんかけたおばあさんがよたよたと乗ってきた。大きなカバンに荷物を詰めるんじゃなく、小さなカバンをたくさん持つという選択。いいものを見た。 





 2019年11月10日

2020/01/07

シカゴ日記 - 13日目

ワークショップの日。ポールさんとポールさんの奥様が車で迎えに来てくれて、一緒に会場へ向かう。参加者は大人2人、こども6人。まずはウォーミングアップをして、そのあとフリーウェイ・ダンスを起こすための最初の作業である「初めて踊った(身体がダンスした)ときの記憶」をみんなでシェアすることに。今日が初めてのダンスです、と言う子もいた。それで実際やってみて初めて分かったのは、フリーウェイ・ダンスにおける記憶(振付)を貰うこの作業というのは、たった数時間のワークショップで、初対面の関係で、こんなふうに簡単に行われてはならないということ。ダンサー/振付家は、その記憶/振付を本当に自分/相手の身体に刻む覚悟があるのか。そこが曖昧なままでシェアされる記憶/振付はただその輪郭だけで交換されるしかなく、それだと私の身体には、おそらく足りない。

ワークショップはどうにか終えることができたけれど、なんだかふりだしに戻った気分だった。




ワークショップ後は滞在先に戻り、家主のマギーさんとBridge Dance Festivalで共演するシカゴのアーティスト ミツと一緒にディナー。ミツとはこの日初めましてだったけれど、昔京都に住んでいたことがあり、ダンスボックスが大阪にあったとき出演したこともあるんだとか。今回のフェスティバルでは京都時代の縁でUrBANGUILDのRyotaroさんと一緒にパフォーマンスをするらしい。いろいろ繋がっているなぁと感じる。
マギーさんお手製のご飯を囲んで、楽しい夜を過ごした。


2019年11月9日

2019/12/01

シカゴ日記 - 12日目

フリーウェイ・ダンスの夢を見た。夢の中で私は大きなテントを組み立てていた。初演時そのようなシーンはなかったのになぜ「フリーウェイ・ダンスの夢を見た」と言い切れるのか分からないけれど、でも確かにフリーウェイの夢を見た。来週の本番に向けて、自分では焦っているつもりはないけれどやはり追い詰められているのかもしれない。だってもう1週間後だ。今日は当日券狙いでLucky Plush Productionsの公演を見に行こうかと思っていたけれど、辞めて明日のワークショップの計画を練ることに。



2019年11月8日

シカゴ日記 - 11日目

リンクスホールで行われた『CAPTURED』というダンスを見に行った。これはリンクスの主催公演ではなく貸館事業とのこと。5名のダンサーそれぞれにインタビューした音声をバックに、自らを痛めつけるように激しく動くシーンから始まる。この音声がわりとセンシティブな内容だったので個人的には結構キツかった。動き自体はモダンダンス。マーサグラハム。って感じで興味深かった。アメリカのダンススクールではみんなグラハムテクニックを習うとかあるんだろうか?めっちゃ偏見だけど・・・。アフタートークでは作品の冒頭のインタビュー音声について言及するお客さんが数名いて、みんな涙をこらえながら自分の経験をシェアしていた。出演者も泣いていた。この貸館事業の制作を担当したのはリンクススタッフのアリアちゃんで、これが初めての仕事だったらしく公演が無事に終わってとても嬉しそうにしていた。よかった!

2019年11月7日

2019/11/13

シカゴ日記 - 10日目

Lucky Plush Productionsというシカゴ拠点のダンスカンパニーのクラスを受けるため、朝からExtentions Dance Centerというスタジオへ。カンパニークラスといっても団員だけでなく一般のダンサーも参加することができる。初めて来る場所でこういうクラスの情報を得るのはなかなか難しいと思うのだけど、この日はエリンがゲスト講師だったので誘ってもらい参加することができた。鏡とバーのある大きなダンススタジオ。こういう場所でテクニックのクラスを受けるのはかなり久しぶり。ロンドンのバレエ学校での日々を思い起こさせる。エリンのクラスは最初から最後まで基本ずっと動きっぱなしで身体が一気にあたたまる。シカゴに来てからというもの寒さでずっと身体が縮こまっているような気がしていたので、やっと取り戻したような。神戸でもこういったダンスクラスを定期的に受けられる場所があればいいのに(むしろ自分でやるか?)と思ったけど、このレベルとスピードで進むクラスを開くのはなかなか難しいかなあ・・・。『SEARCH PARTY』のオリジナルメンバーであるマリアとディーもクラスに参加していて、初めましてのご挨拶。ここでこうして会えたことが嬉しかったし、彼女たちもとても喜んでいた。新長田では、来日しなかった彼女たちのパートを私たち日本勢が踊ったのだけど実際のところはそのことについてどう思っていたんだろう?ここ数年私は舞台作品の再演やリクリエイションにたくさん参加してきたけれど、やっぱり初演時のダンサーのこと、自分が踊るそのパートをかつてゼロからつくりあげた人たちのことがいつだって気になる。作品は永遠に作家のものだけど、その作品を踊るダンサーは代替可能な存在。ほんとうに?

という問いに明確な答えがないのはわかっているけれど。



2019年11月6日